光れ、フラッシャー!
少年たちの羨望、昭和の自転車。
ぼくは昭和40年代後半、補助輪が取れた頃から青い少年用自転車を乗っていた。
ただそれはシンプルなごく普通の自転車で、まわりの金持ちの家の子供らは
フラッシャーという、音とともに光が流れるウインカー(方向指示器)が取り付けられたギミック満載のスーパーカーを模したスポーツ車を誇らしげに乗り回していた。
交差点を曲がる彼らの眩しい後ろ姿を羨望のまなざしで見ていた。
もちろん欲しかったが、現在の価値だと約20万円近くするものを親に頼めるはずがない。
そんなとき、草野球の帰りに家に戻ろうと交差点にさしかかったときに、ド派手に車に轢かれた。
出会いがしらの衝突で、ぼくは約10m近くも自転車ごとフッ飛ばされ、アスファルトにたたきつけられたのだ。
青い自転車は原型がかわらないほど大破。
しかし今も不思議で仕方ないのだが、ぼくはまったく無傷でかすり傷ひとつなかった。
結局、20-30代のドライバーが家に来て親に謝っていた。
そして壊れた自転車の弁償に、自転車へ。
店内には憧れつづけたフラッシャー付きの自転車が並んでいる。
「あれがいい」とぼくが指さしたのは、丸石のジャンプ5という車種。
ついでにニシムラというケーキ屋でケーキを一箱買ってくれた。
こうしてぼくはタダで光るスポーツ車を手に入れたのだ。
ケガもせず、親の財布も使わずに。
一部省略して書いたが、このような思い出はいまも忘れられない。
しかし、大人になっても好きなものは好きなのだ。
「探せばまだ買えるのかも」と気が付いたのは遅く、2008年頃だった。
喫茶店めぐりのついでに自転車屋に寄っては「売れ残り」をみつけて買ったり、「邪魔だからあげる」とタダでもらったり、最近はヤフオクで買ったものもある。
さすがに20台にもなると置き場所がなくなり、最近は大人しくしている。
ぼくの住む北海道は積雪期間が長く、しばらく乗れていないから、今回はマイカーで出かけたときの写真をいくつか貼るのだ。
※この記事は3/13に書いています