1970年代に小学生の間に大流行した高級自転車。
私はウインカー(フラッシャー)自転車と呼んでいた。
左折、右折のときにウインカーのライトが流れるように光るやつ。
このブログでも取り上げてきたが。
先日、とある地方の自転車に寄ったとき、これらの自転車が当時のまま今だに多数在庫。
ためしに、これ売ってるんですか、とオヤジに聞くと、売る売る、との答え。
うーん。欲しいけどいま乗ってるやつあるしなーと迷う。
そんな私にオヤジの予期せぬ一言。
「この店、まるごとやるよ。」
ええー!
オヤジは続ける。
「工具や技術、ぜんぶ教えてやっからさ。継がないか。」
「息子がさ、継ぐ気はねえって言うんだ。あんたみたいに自転車に興味ねぇんだわ。」
「たしかによ、いまどきはホームセンターで安い中国製の自転車買う世の中だからな。」
「でもよ、ワシにとっちゃ、あんなの、ってとこよ。自転車はスーパーの店員が売るもんじゃなく、職人がちゃんと調整しなきゃだめなんだ。あいつらが調整や修理できることはほんの一部さ。自転車屋とホームセンターの店員とじゃぜんぜん違うんじゃ。」
非常に共感したものの、なかなか継げない私だった。
そしてまた先日、北海道で最高レベルの技術を持つ喫茶店に行ったときのこと。店主がぽつりと言う。
「あんたコーヒー好きだよな。この店、やらないか」
「もう体がきつくてさ、ここはあと数年で閉めると思ってるんだ」
「継ぐ人がいれば全部教えてやるんだが。息子はやる気ないようでさ。」
非常に共感したものの、なかなか継げない私だった。
おわり。