純喫茶シグナル
熊本県熊本市中央区手取本町5-6  加藤ビル BF

 
 
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昭和の良質な質感と洗練された感性が開店50年後の今もそのまま流れる喫茶。
 
熊本では「ミミ」「しらかわ」が昭和の可愛さ、可憐さを体感できますが
シグナルでは圧倒的なモダン志向に腰が抜けそうです。
50年前の開店当時に、よくここまで徹底的に洗練した空間を具現化できたなーと思います。
現在、平成時代の建築内装も洗練されているものはほんとうに良いとは思うのですが、むしろ昭和20年~40年代のかっこいい建築は手がつけられないほどかっこいいのです。
浅草の「エノモト」や八王子の「フランク」もそうですが当時の素材(板、石、ガラス、レンガ、鉄など)の組みあわせ方や造形はやばいですね。
そしてこれらも店の設計は、店主さんご自身がデザインにかかわっているという共通点もあります。
 
あいにくマスターは不在でしたが、非常に丁寧に接客していただいたママさんと、その娘さん(引き継がれるのだろうと思います)のお話では、シグナルの場合も内装にマスターが大きくかかわっていることを教えていただきました。
シグナルの最大の魅力のひとつともいえるユニークなチェアも、せっかくなら見たことのない形の物を用意しよう、普通のものは面白くないということで、マスターを中心とした関係者で考案し特注したとのこと(当時の設計会社、デザイナーはもういないようです)。
このチェアは弧を描くように斜めに固定された背もたれがSF・未来的で
形状としての魅力もありますが、座ってみるととても心地が良いことに驚いてしまいます。なお、最初は布張り仕上げでしたが後に現在の素材に張り替えた模様。テーブルに座るため、最初このチェアに手をかけたとき「重い」と思いました。造りが頑強で、強度も(おそらく値段も)高いのでしょう。
 
 
 
店内は加藤ビル の地下にあり、広く、照明を落としたフロアにこのスペーシーなチェアがずらっ・・・と並び圧巻。
ビル建設当時、ビルオーナーは設計段階において地下は現在のようなワンフロアではなく、中央部分に階段を配置しその左右で分離される予定だったのですが、マスターがワンフロアすべて喫茶店としたいと申し出、この広い空間が完成しています。なお、地下の喫茶店はシグナルが熊本初とのことです。地下なので、白川大水害の際はお店は全部水に浸かってしまったようですが。釧路の地下喫茶「リリー」も東日本大震災の津波で浸水したように、地下の喫茶の宿命と言えるかもしれません。
 
 
 
 
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入り口。すでにオリジナルチェアが置いてあり、胸が躍ります。ワクワク
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「信号機がすぐそこにあったから」という理由で「シグナル」にしたと笑う奥様。入り口近くには信号機を縦にイメージした照明があります。
(私の住む北海道では雪の重みに耐えられるよう縦型の信号機が多いので見慣れていますが。)現在は一番下は緑ではなく青の電球が点灯しています。
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明日の記事に続きます
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閉店の日にあたって