名曲ネルケン 東京都杉並区高円寺南 3-56-7
高円寺駅前の商店街を少し歩くと、居酒屋など飲食店が軒をそえる一角に長仙寺という寺がある。
たしかこのあたりに目当ての喫茶があったはず・・・。
と思って歩いていたら不覚にも店の前を数歩通り過ぎてしまっていた。
道端に咲く小さな花のようについ見落としてしまうほど目立たず、気が付く人にしか存在を知られたくないような何の誇張もないたたずまいの喫茶ネルケンは、クラシックレコードを聞くための喫茶(名曲喫茶)。創業は1955年らしい。


店内には複数の絵も展示されているから「画廊喫茶」ともいえるけど、年季の入った大きなレコードキャビネットからLPレコードを取り出し、オーディオ装置で名曲たちを再生する現代では貴重な喫茶。レコードは数千枚とのことだ。
今日はそんな名曲をコーヒーでも飲みながらゆっくり楽しもう。
やや暗い店内の床には少し凹んだ小道がつけられ、小道のまわりには赤いベルベッドが張られたの木脚のチェアが並んでいる。


客席には林のように木が固定されていて、多少の目隠しとなるのでほかの客があまり気にならない配慮が。
さて、彫刻の立つ席にすわる。
テーブルにはカーネーション。
ネルケンという店の名は、カーネーションの花束のことらしい。
なるほど店内あちらこちらに生花が飾られ、小さな窓からの日差しが花に注いでいる。


赤いチェア。迫力のオーケストラ。みずみずしい花々。
現実とネルケンの魔術のハザマですっかり夢うつつ。
でも実は。
客はずっと私一人だったため少し会話ができた、気品漂う店主。
どうやら彼女の深い存在感に五感を麻酔されたようで、
コーヒーの味も、私のために選んで回してくれたレコードの曲名も全然覚えていないのです。
次は本を持ちこんで落ち着いて過ごそう。







