音威子府駅のそば屋 常盤軒。
音威子府駅のそば屋「常盤軒」さんが、先日北海道内のニュースで大々的に取り上げられた。悲報でした。
「常盤軒」さんの店主が亡くなって閉店されたという内容。
それを見て思わず「えぇーーー」と声が出てしまいました。
ここ「音威子府(おといねっぷ)」は北海道で最も人口の少ない自治体の村です。
・音威子府村 2020年 住民基本台帳 699人
・神恵内村 2020年 住民基本台帳 815人
位置としては、札幌市→音威子府が車で4時間半程度、音威子府→稚内へは2時間というロケーション。
ただ、この微妙に中途半端な位置が幸いして北海道の北方向、北東方向に対しては分岐点・交通の要所となり、ちょっとしたハブの役割があって、とても小さな村なのに「特急列車がとまる」という特徴があります。
常盤軒はそんな駅のホーム、駅舎でずっと営業してきました。
1990年に駅舎改築になっても営業を続け、今年の閉店までなんと88年(1933(昭和8)年に祖父が開業)にもなる老舗なのです。
特急が止まるとはいえ、この駅には乗降客数以上の人が立ち寄っていることも知られています。それはもちろん、駅に車で常盤軒のそばを食べに来る人が多いから。
それほど多くの道民の心をつかんでいて、インターネットが存在しない時代から「黒いそば」は口コミで広がり、かくいうぼくも、知り合いのおじさんとドライブに行ったときに「珍しい黒いそばがあるから食べていこうよ」と言われ、「えっ!なんで黒いの?」と興味を持って立ち寄ったのですよ(麺が黒いのは、そばの実を皮ごと挽いているから)。
晩年は店主の入院や、コロナ休業もあったようで、再開を待ち望む客は多かったと思いますが、店主は2月7日に亡くなり、店は翌日閉店へ。
一つの時代が終わった気がします。
音威子府駅前
こちらも閉店され久しい原菓子舗。鮭みそパンが名物だった。