中原中也さん

 
中原中也さんは、もちろんミュージシャンではないけど、
この「大好きなミュージシャン」コーナーに掲載します。
 
私が一番好きな詩人です。
ゆっくり  じっくり  読んでると
くらっときます。 くらっと。
読む年月や時刻を変えて読み直すと、
あたらしい発見も出てきて また くらっとなります。
意味や理由や色や音が見えてきて、はぁー 、となるわけです。
 


一つのメルヘン   ~ 作品集 『在りし日の歌』より

 
 
 
 
秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、

それに陽は、さらさらと

さらさらと射しているのでありました。

陽といっても、まるで珪石か何かのようで、

非常な個体の粉末のようで、

さればこそ、さらさらと

かすかな音を立ててもいるのでした。

さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、

淡い、それでいてくっきりとした

影を落としているのでした。

やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、

今迄流れてもいなかった川床に、水は

さらさらと、さらさらと流れているのでありました……


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