ふくろうの店
北海道上川郡東川町東2
2020.11.7訪問
ぼくにはとても好きな木彫り作品がある。
それは『コロポックル(森の妖精のおじさん)』の木彫作品で、昭和時代に流通していた大衆向けの土産品。値段も高くはない。
作品はどれもユーモラスな雰囲気で、みていて心がなごむ。
とくに、コロポックルやふくろう、キタキツネの表情はやさしく、作者の心の中が作風にあらわれている。
今もこれを10個くらい持っていて、いつかその作者に会ってみたいと思っていた。
その作者こそ、西山忠男氏(現在84歳)。
2010年から北海道の東川町にお住まいということで、驚いた。
東川町には知り合いもいるし、センスのよい店も多くて、たまに出向いていた町なのだけど
自分が旭川を転出したのと入れ替わりに阿寒から転入されたようだ。
早速、札幌から車で店に行った。
念のため数日前に電話をすると奥様の営子さんがでられて、観音様!?と思ってしまうほどやさしい声と口調で「はいやっていますよ、気を付けていらしてくださいね」と言ってくれた。
到着。
木彫りや草花が自然な庭で、なんてファンタジーなところなんだろう。
めちゃくちゃ感動。
リアルトトロの森のよう・・・・・。
奥様がでていらして、店のカギを開けてくれた。わくわくが止められない。
念願の入店に成功・・!
奥様が夫である西山忠男さんを自宅から呼んでくれた。
見てこの店内! 氏の作品が数えられないほど並んで夢の世界のようだ。
どれもみんな表情豊か
これこれ! コロポックル。
現在はもう作っていないので、店内在庫かぎり。
これはキタキツネの木製の鈴、「狐運(こううん)の鈴」。カラコロと平和な音。
ふくろうの羽がくるくるくるくる回る。欲しい・・・
ハクション大魔王がでてくる壺のようなランプ
これはぼくが持参したコロポックル。
50年くらい前の作品。作者である父と再会させたくて家から持ってきたのだ。
自己紹介や昔の出来事を話してくれた。
神戸市出身の83歳(2021年現在は84歳)。
もともとは洋服のデザインをしていたが、18歳の時に北海道内各地を放浪。
23歳で阿寒湖畔に民芸土産店をはじめた。
コロポックルのあまりの人気に職人を複数雇い、商売を広げていった。
現在は東川町で素晴らしい世界観の庭のある家で暮らしているが、もう高齢だしここを売却して札幌などマンション暮らしをしても良いという。
氏が持っている、羽が回転する木彫りのふくろうを買った。
ぼくが持ってきた昔のコロポックルたちを見て、「これは40年以上昔のやつだ」とか
ひとつひとつ教えてくれた。
すると「ちょっと探してくる」と工房に戻り、「この板の上にコロポックル置いたらいいよ」と板をプレゼントしてくれた。
コロポックルにサインを書いてもらえたし、満足この上なし。
「カバンに入ってるそれ何?」と言われて焦った。。。
実は、自作の「ムックリ」という竹の楽器を20本ほどを布で巻いてカバンに入れてあるのだけど、それに気が付いたようで、やはり工芸品へのアンテナが高い。
"伝説の木彫師"に自分の作品を見られて緊張したけど、さらっと見るのではなくて、ひとつひとつ観察してくれて、「非常に丁寧に作っていて独創的だしとても良い」とほめていただいた(感激、、、)。
阿寒で長年、作品づくりと店の経営をやっていた西山さんだが、阿寒のものでも数をこなすだけで芸術作品とは言えないものも多くあるとのことで、一つに時間をかけて作ったのがわかるよと言っていただけて嬉しかった。
阿寒で長年、作品づくりと店の経営をやっていた西山さんだが、阿寒のものでも数をこなすだけで芸術作品とは言えないものも多くあるとのことで、一つに時間をかけて作ったのがわかるよと言っていただけて嬉しかった。
帰るときは外は真っ暗。
西山夫妻は庭の照明をつけてくれて、車まで見送ってくれた。
ふくろうを買って、嬉しくて早速、臨時で車内にぶらさげて走った。
来れてほんとに良かったよ・・・。
そして大発見。
東川町の「道の駅」で、旧旭川駅舎入口にあった木彫りの人形が常設展示されているのを
るのを見た。ここに移転してたんだ、自分の中では消息不明だったんでホッとした。
(参考)2010年に撮った旧旭川駅と木彫り人形の写真

