北海道帯広市
本日は、1984年の日記より『白い地下』という忘れられない店を転載します。
◆1984年の日記より原文まま◆
「忠類(ちゅうるい)の町を朝6時に出発し、発売されて間もない中森明菜の「サザンウィンド」という曲をなんとなく口ずさみ、たどりついた帯広市。
あっという間に朝は来るのだ。
個人的にはまさに伝説の店といえる。
店に入ると酔っ払いらしく長椅子に誰か寝ていて、カウンターの中にはマスターらしき25才くらいの人がいた。
(あとでマスターは長椅子で寝ているほうだと知った)
客は自分一人。
店内は渋いの一言に尽き、ポスターや貼り紙、アンティークな8ミリカメラなどインテリアやオーディオの渋さといったら・・・これ以上の場所があるのだろうか。現実離れ。
ジャズが流れている。
この店はロシアが好きらしく関連メニューが多い。
店の中に貼られているポスターもロシアのものだろう。
マッチが一個だけ残っていて、それをくれた。
この店はもう20年くらい経っているのだろうと思っていたが、実は7~8年だと聞いて驚いた。
カウンターの25歳は口数は少ないが「ここだけ時の流れが速いんじゃないですか?」と笑っていた。
紅茶を頼むと、ロシア紅茶にするか普通の紅茶にするか聞かれたので、見栄をはってロシア紅茶400円にした。
めずらしいもので、その飲み方がわからなかった。
ロシアから輸入したという紅茶は小さな急須のような、魔法のランプのような容器でグツグツと沸かし、しばらくしてカップに注ぐ。
同時に小さな皿をくれてその中には苺ジャムとレモンが並べてあった。
ロシア紅茶は砂糖を使わずジャムをスプーンで舐めながら飲んだり、そのまま紅茶に浮かべるのでもいいらしい。
ロシアの普通の飲みかたなのだった。
マスターもカウンターの髭の人(伊勢正三に似ている)も素晴らしい人だった。
23:00まで自分の喫茶ヒッピー旅の話などを中心に楽しいひと時。
マスターは、歩くにはワラジが良いと言っていた。
雨の日は傘を持たずに歩けるようリュックに縛り付ける方法とか、へんてこりんなことも言ってた。
「旅行中は野菜不足になるなー」と話すと、「米も野菜だ」とマスターが言って、伊勢正三と私は大笑いした。
確かに植物だけどその考えではパンさえ野菜になっちゃうよ・・・。

【白い地下 過去記事】

