喫茶
思いつき
神戸市兵庫区西出町1-2-18
神戸港に近い西出町の周辺は住宅と町工場(まちこうば)が肩を寄せ合って並んでいる。
工場はほとんどが造船や鉄鋼など船にかかわるものだ。函館の街を思い出す。
それぞれが腕利きの職人の住宅のようなたたずまい。
町の雰囲気はたいへん静かで、私の靴音がいつもよりよく聞こえるほど。
そんな町並みのなかでもさらに控えめに建つ『喫茶 思いつき』さん。
のんびりと店を続けていらっしゃる雰囲気である。
昭和30年に、まさに「思いつき」からはじめたという小さな喫茶店。
50年以上この店をやっている姉妹と店の常連のお客さんが、とても丁寧な説明で、時間をかけて、いままでの出来事やこの素敵な空間についてさまざまなことを教えてくれた。その内容については何も私に特別お話ししてくれたものではなく、この店を好きな人には皆にお話ししてくれると思うので、谷岡さんをはじめとするお店の姉妹との会話を直接楽しんでほしい。
いろいろな話をしていただいたので、私も自分がお邪魔してきた様々な喫茶店をまとめた写真集をお見せしてみた。
この店の空間の特徴は当時の船大工が手がけたオリジナリティ。
「エデン」もそうであったが、建築家とは少し違う船大工という職人が頭をひねった内装は、「なるほど」や「さすが」でいっぱいだった。

平日の午後二時の店内。古い曇りガラスの美しさは最高。
壁から続いているような白く小さなテーブルがおすすめ。私は左のテーブルに座った。




壁を背もたれに座ることになるから、壁はお客の背中で擦れている。


壁一面に沿って設置された長いベンチシート。
もともとは畳が敷いてあったそうだが、その上からシートを張って現在の形になっている。
また、白いテーブルは簡単に取り外しができる。天板の下にある彫刻された一本足に乗っているだけだ。しかしテーブルはたいへん安定している。

