喜よ美食堂
和歌山県御坊市薗
偶然発見した古い食堂です。
あまりに年季の入った外観を見て、「もう廃業したとこかも」と思っていたら
一応ノレンがでていたんで入ってみた。ちょうどお昼で腹もへった。
店内に入ったら、あまりの素晴らしさに絶句。
でも誰もいなかったんで「ごめんくださーーい」「こんちはーー」と
大きめの声で呼んでみる。
すると奥の自宅スペースからから「あらーー」と店の方が出てきた。
一瞬お客が来たことに驚いたような様子だったけど、すっごく穏やかで
やわらかい表情。すぐに「この人のことだいすき」って思った。
「なにか頼めますか」
そう切り出すと「実はもうお店はやめちゃったんですよ。」
「でも近所のきまった昔からの常連さんがたまにきたときだけは適当につくってお出しすることもあるの。その程度。」
そっかじゃあ仕方ない、って思っているとすぐに思いがけない言葉が。
「もうお金はとれるレベルではないので、ほんとうにお代はいらないので、素うどんしかお作りできないのでせっかくだから食べていってくださいよ」
奇蹟のようなやさしさにあふれる表情と言葉。
でもさすがに申し訳ないので「いやいやそれは・・・」と話しかけるとすでに厨房に
向かってしまった。
ほんとうに良いのだろうか・・・。
それにしても、あまりにも素晴らしい昭和空間が残っている。
もう写真とりたくて仕方なかったけど木の丸椅子にじっと腰かけていた。
五分~十分すると、うどんが運ばれた。
「もう麺もありきたりの袋めんしかないので、ほんとうにごめんねぇ」
いや、こちらこそ恐縮。
食堂に入ってタダで食べてしまったのは初めての経験だ。

うどんを食べた。うまかった。ジーンとした。
食べながら、なんだかうまく説明できないけど、このお店の人とぼくはすごく気が合うと思った。
まもなく、予想どおり会話が弾む。
僕が好きなもの、店の方が好きなもの、それぞれ話すとやっぱりわかりあえた。
それから、店内をいろいろ説明してくれた。
詳細は省くけど、ほんとに長い歴史のある食堂で、店内においてあるひとつひとつのものにもストーリーがあった。そして当時としてはたいへん立派な設備を備えた店であることも分かった。
写真をたくさん撮らせてもらった。
右側が入口

前輪二輪の三輪車

こんな食堂が現存していたとは。
カウンターは一枚物の木の平板
(とっても貴重な堅い木材、名前は教えてもらったのに失念….)

電気は使わず氷を入れて冷やす時代の冷蔵庫







神棚がまた立派




引き戸のガラス


冷蔵庫の奥右手に厨房がある


お店の人が「子供のころ」につくった切り絵。クオリティがすごい。
先生にたいそうほめられたそうだ。


厨房を案内してくれた。

あまりに暗かったので フラッシュさせて撮影。
薪のかまどだった!

ノレンがすがすがしく素敵だった。
いいノレンだなぁと伝えると「私がつくったの」。
季節ごとに変えるそうで、これまでの作品をみせてくれた。

広げていろいろと見せてくれた。
どれもこれも絵ごころが感じられる力作。すごいなぁ、びっくり。

以上、ぼくの人生最高の食堂との出会いだった。
このあと、「この町の○○寺には行った? 近いから案内しますよ。それにヒッピーさんの好きそうなところを探しにいきましょう」と
お誘いをうけ、二人で町の散策にでかけた。
つづく
その後の訪問記

