代々105年もの歴史を持つアイヌの私設博物館「川村カ子(ネと読む)トアイヌ記念館」の館長の川村兼一さんが今月亡くなったという(69歳)。
実は2020年11月に訪問しており、このときは奥様で副館長の妻久恵さんとお話をしたのだが、まさかこのあと3カ月で館長が亡くなってしまうとは考えられなかった。ご冥福をお祈り申し上げるばかりです。
とはいえ、故人とは特別親しかったわけではなく、ここアイヌ記念館への10~20回ほどの訪問の際にもちろん話す機会もあったが、敷地内を歩いている姿や腰掛けている姿をただ眺めていることのほうが多かった。おそれ多いというか、澄んだ方なので、雑念ばかりの私とはあまり話さないほうがいいと心のどこかで思っていたのだ。
さて、自分にとっての川村カ子トアイヌ記念館は、皆さんとはすこし違う訪問の目的があった。
有料の記念館には幾度か展示品を拝見しに入ったことはもちろんあるのだけれど、別棟のお土産屋がとても居心地が良く感じていたのだ。
アイヌ文様のアクセサリーや刺繍製品、熊や梟の木彫りなどを扱う小さな個人商店がいくつか横並びに営業していて、そのまわりにはいくつもベンチがあって、そこで売店のおばちゃん(お婆ちゃん)たちと雑談をして過ごすのがとても居心地が良かった。
「あーまた来たのかい」「ゆっくりしてって」「もっとムックリ聞かせて」など、タバコで一服しながらのんびりとした時間を過ごせる場所であった。ネックレスなど気になる土産品も時々購入した。
しかし近年は売店数が減り、2018年は最後の一店舗となっていた。
そして2020年11月の訪問の際、すべてなくなってしまったことを知った。
そうなることはわかってはいたが、すごく昭和的な一画だったのでやはり残念。
コロナによる営業自粛、売店の方々の高齢化など様々なタイミングなのだろう。
訪問した中で、写真を撮ったことも幾度かあるので改めて掲載したいと思う。
◆2020年11月
・別棟の売店が完全閉店となっていた
すべてシャッターとなった
イナウづくりの途中らしき作業場
◆2018年5月
・雪の影響で屋根を補修されていた
・売店がほぼなくなった
◆2013年6月
・売店のおばちゃんは、この頃から「修学旅行生のほかに、中国やタイの観光客が増えた」と言っていた
◆2007年5月
・このあと、ぼくは生まれ故郷である旭川で4年ほど暮したのでけっこうここにも来れてとても楽しかった。