下の月
北海道江別市東野幌
地図をぼんやり眺めていたとき、ふと目にとまった「下の月」という詩のような地名。
その響きに惹かれて、どんな場所なのか確かめたくなり、足を運んでみた。
「下の月」という名は、アイヌ語の ノッケ──“岬のように山が突き出したところ”──に由来するといわれている。
千歳川(江別川)が大きく身をくねらせる地点で、川沿いの大地がぐっと張り出す。その特徴的な地形に漢字を当てて「の月」とし、さらに開拓期、北越殖民社が野幌原野を区画整理した際、川の流れに沿って
上の月・中の月・下の月
と三つに分けて名付けたのだという。
1959年(昭和34年)、夕張鉄道線に 下の月駅 が開業した(1974年廃止)。
実際に歩いてみると、周囲には農家が点々とするばかりで、特別に目を引くものはない。
けれど、アイヌ語の記憶、開拓の名残、そしてかつてここにあった短い鉄道の歴史。
それらが折り重なり、江別らしい“地名の深み”を湛えている場所だった。




